今年に入ってにわかに話題となっている外来種。今回はその外来種をビジネスの視点に結び付けて見てみる。
今年に入って一番話題になったのはヒアリ。毒をもっていて、敵に針を刺して注入する。人間にとって日本は先進国だが、彼らにしてみればもしかして発展途上国かもしれない。なぜなら彼らにとって日本は他に競合のいない未開の地、ブルーオーシャンとなりえるからだ。
我々が新規にビジネスを行う上で重要なのは競合他社がいないこと。または他社にはない強みがあること。もしくは圧倒的財力等絶対の力があり、新規参入してもNo1になれる確信があることだ。さらに現在のビジネスは非常に多岐の種類があり、新規参入後何があるか安直に判断はできない。現在は5年後、10年後に競合となりえる他社も予測してビジネスを展開していかねば、継続した事業の発展は不可能だ。
筆者の見立てではヒアリは安易に新規参入できない。日本には多数の日本固有のアリがすでにおり、彼らと競合することになるからだ。ただ、ヒアリが絶対の自信をもって参入してきたのなら、話は別だが。
筆者の理想はヒアリの前から日本に新規参入しているアルゼンチンアリとのつぶしあいだ。そううまく事は運ばないだろうが。
ヒアリは南米原産で、今は中国やオーストラリア等にも分布。貿易で港から港へコンテナが船で運ばれる際各国に侵入したと思われる。日本へも毎日中国等から各港に多くのコンテナが到着しており、日本に上陸したのは必然。筆者はコンテナに携わる仕事をしていたことがあるが、毎回本来運ぶ商品の他、なぜか謎の粉、大量のコーン、タバコの吸い殻、ペットボトル等、望まぬものがともに載っていて、いつかとんでもないものも運ばれてくると思っていた。
次の外来種はカミキリムシ。その名もクビアカツヤカミキリだ。
中国、台湾等原産。例によってコンテナ等で日本に移入したようだ。
ヒアリより話題になっていないが、それはヒアリには毒がある分世間的にインパクトが大きく、マスコミが視聴率を優先して特集しているからだ。
筆者的にはヒアリよりこちらのほうがはるかに日本にとって危険だ。
現在敵もほとんどいないしものすごい勢いで勢力を拡大。
もしかして十年後二十年後には日本のサクラ、ウメ、モモ等が壊滅し、日本人の春の代名詞、桜の花が咲く光景が見られなくなるかもしれない。
早急な対策が必要。
この虫は2000年代に日本に参入してきた。最初の発見は2012年とされるが、急速な侵略状況の伸び(現在は愛知、東京、神奈川、徳島、大阪、群馬、埼玉、栃木等南北に進行中)がみられる。生きている木に入って弱らせ、枯らせるため、倒木の危険がありもしこのカミキリが木に入ったら、切り倒すしかないのだ。
新規事業のビジネスとしては完全に成功しているかに思える。何しろ競合もいないし、需要(かれらにとっての資源)も膨大にある。日本をあっという間に支配するだろう。ただし、継続して利潤を得、成長していく事業と言えるだろうか。答えはノーである。結局ビジネスは一時的にうまくいくかもしれないが、結局それはこの国にとってウインウインの関係ではない一方的な侵攻である。他社との競合はまだいい。結果的にそのビジネスがブラッシュアップされるからだ。だが企業間のみならず、その国の国民の大多数にも不利益が出るあまりにも一方的なものは話は別だ。
日本の企業では例えばソフトバンクの孫さんは、他国のビジネスに参入する前には挨拶をしに行く。そしてその国にとってのメリットもしっかり話す。
だが、一方的に利益をむさぼり、結果一方的に他者を苦しめ、社会全体の成長を鈍化させる企業は、遅かれ早かれ必ず淘汰されるはずだ。このカミキリは人間に駆除されるだろう。継続して成長する企業は必ず社会に何らかの形で貢献し、世界をよりいい方へ前進させるビジョンを持っている。
最後に余談になるが、現在このカミキリの防除に関して、明確に効果的な防除方法は日本では確立していない。つまり、上記で述べた通り日本のサクラの風景がなくなるかもしれないのだ。現在は一部研究者がいるが、明らかにっているのは生態ぐらいだ。クラウドファンディング等で少しずつ研究資金が集まりつつあるようだが、このままでは焼け石に水である。
日本の各企業や自治体が早急に研究や対策方法を考え、それを国がサポートしなければ日本の春の情景や桃の生産量等に必ず大きな打撃が来る。経済損失も潜在的には計り知れない。もちろん筆者も微力ながら取り組んでいく。情報の共有、拡散を希望する。