喫茶店やレストランのドリンクメニューには、必ずと言っていいほど「コーヒー」がありますよね。
おもてなしの飲み物としても提供されることの多いコーヒー。
砂糖もしくはガムシロップ、そしてミルクが添えられて出されることもよくありますが、みなさんはどのようにして飲みますか?
ブラック派の人、砂糖をたっぷり入れる派の人、砂糖もミルクも入れる派の人、好みが大きく分かれますよね。
ところでみなさん、コーヒーに添えられているこのミルク、この正体って何だかお分かりですか?
レストランなどでは、フタ付きの容器にに入ったポーションタイプのものを見かけることもありますね。
でもこれ、牛乳にしてはトロっとしているし、牛乳ではないよな…
もし牛乳だったとしたら、最初からカフェオレを注文するよな…
じゃああのミルクって、いったい何なんだ、って思ったことはありませんか?
実はその「コーヒーに添えられるミルク」って、「ミルクではない」のです……
はじまりは粉末タイプだった
「コーヒーフレッシュ」とも呼ばれることもある、コーヒーや紅茶に入れるミルク。
「コーヒーフレッシュ」ができる以前は牛乳や生クリームが使われていました。
ですが、これらは日持ちしないうえに常温での保存は難しく、値段も高いという難点がありました。
そこで誕生したのが、粉末のクリーミングパウダー。
コーヒーや紅茶に溶かせば、クリーミーなミルク風味にしてくれるあのパウダーで、ご家庭ではビン入りのタイプがよく使われているのではないでしょうか。
クリーミングパウダーは牛乳や生クリームとは違い、保存性にも富んで、常温保存もできるので重宝されています。
このクリーミングパウダーも、元は牛乳です。
牛乳から脂肪分を分離して粉末にしたもの。これをコーヒーなどに溶かすと、牛乳を入れたかのような風味を味わうことができます。
商品によっては、動物由来の牛乳からできたものではなく、植物由来のものも。
植物性のクリーミングパウダー主な原材料は、水あめ、植物油脂、乳たんぱく、などです。
これを見ると、植物性のクリーミングパウダーは「牛乳の要素がない」ことがわかります。
それでもこれをコーヒーに溶かすと「なんとなくミルクっぽい風味」を味わうことができるから不思議ですよね。
コーヒーフレッシュには「ミルク」の要素は一切なかった
ちょっと寄り道をしましたが、このクリーミングパウダーが登場した後から発売されたのが、液体タイプである「コーヒーフレッシュ」です。
1978年に、メロディアン株式会社から発売された「メロディアン」というコーヒーフレッシュは、今でも私たちの生活になじみ深い商品となっています。
この「コーヒーフレッシュ」のほうが、パウダータイプのものよりもはるかに「ミルク感」がありますよね。
だって見た目がもうまさに「ミルク」ですもの。
ところがどっこい。
ミルクの要素は一切入っていないのです。
コーヒーフレッシュの原材料を見てみると…
植物性油脂
乳化剤
増粘多糖類
カラメル色素
PH調整剤
など。
植物油脂とは、つまるところサラダ油ですね。
これに乳化剤を混ぜることで白くして「ミルク」っぽくしているのですが、
生クリームのようにトロっとしているのは、増粘多糖類が入っているからですね。
増粘多糖類とは、食品添加物のひとつ。高い粘性を持つ水溶性の多糖類で、とろみをつける増粘安定剤としての用途で使われます。
ジャムなどに用いられる、リンゴなどを原料とするペクチンや、微生物が生成するキサンタンガムなどは、目や耳にしたこともある人も多いのではないでしょうか。
でも、天然由来の成分だったとしても、添加物であることには変わりありません。
ちなみにPH調整剤とは、加工食品の変色や腐食を防止するために、食品の酸性度またはアルカリ性度を調整する添加物のこと。
クエン酸やリン酸、酢酸ナトリウムなどが代表的です。
またまた添加物が入っているわけです。
つまり、言うならば私たちがコーヒーに入れていたあの「コーヒーフレッシュ」は、
水と油を乳化剤で混ぜ合わせて、添加物を加えてとろみをつけた、見た目「ミルク」っぽい液体
という感じでしょうか。
考えてみれば、乳製品であれば冷蔵保存がマストなものが、常温でしかも長期間保存が可能なのですから、長持ちさせられる何らかの添加物が入っているのは容易に想像できることかもしれませんね……
とり過ぎに注意を!
とはいえ、ビジネスのお付き合いでコーヒーを飲む機会が多い方もいらっしゃるでしょう。
「ブラックは苦手だから、ミルクと砂糖は必ず入れて飲む」という方は、コーヒーフレッシュの摂り過ぎに気をつけてみたほうがよいかもしれません。
食品添加物は、厚生労働省の食品安全対策委員会による評価を受け、成分の規格や使用の基準を定めた上で使用されていますが、体外に排出されず体内に蓄積される、とも言われています。
自分の体は、自分が食べたものでできているからこそ。
私たちが普段口にするものに、「これっていったい何でできているのだろう?」と疑問を持ってみることも、健康を守ることにつながるかもしれませんね。