大物俳優の役所広司さん、今をときめく人気若手俳優の山崎賢人さんの主演の話題のドラマ、陸王。
人気作家である池井戸潤さんの小説がドラマ化されるとだけあって、放送前から注目を集めていました。
ドラマ「陸王」は、経営が傾きかけている老舗足袋店が、長年足袋を作ってきた技術を生かし、マラソン用シューズの開発に挑戦する物語。老舗足袋店「こはぜ屋」の社長を役所広司さん、その息子を山崎賢人さん、物語に欠かせないキーパーソンである実業団ランナーを竹内涼真さんが演じています。
第1話でさっそく登場した足袋シューズですが、ドラマを見ていると、なるほど足袋シューズは日本人の走りには合っている、理にかなったシューズであることがわかります。
怪我をしにくいランニングフォームの習得のためには、足袋のようなシューズを履いてトレーニングをしたほうがよい、というのは、すでに唱えられていた説だったようです。
100年も前に、足袋シューズは実在した!?
ドラマ「陸王」によって注目をされている足袋シューズですが、実は約100年前に、すでに足袋を履いてマラソンを走った日本人がいたのです。
それが、日本のマラソンの父とも呼ばれる金栗四三。
箱根駅伝の創設者であり、2019年の大河ドラマの主人公ともなっている人物です。金栗氏は1912年、ストックホルムオリンピックに、マラソン日本代表として出場しました。
長旅による疲労、白夜続きで十分な睡眠がとれず、レース当日は35度を超える猛暑という、肉体的にも物理的にも過酷なコンディションの中で、金栗氏はゴールすることができませんでした。
記録なしという結果に終わった金栗氏ですが、このとき履いていたものこそ、競技用の足袋だったのです。
その競技用足袋を作っていたのが、ハリマヤ足袋店の黒坂辛作。彼は、当時20歳で日本の期待を一身に背負った金栗氏とともに研究を重ね、金栗氏からの要望もくみ取り、足袋の底に厚い布を三重にも縫い付けた特製の足袋を製作し、オリンピックに臨む金栗氏に持たせたのでした。
その後、黒坂氏はこの競技用足袋をシューズとして進化させていきます。足袋にゴム底をつけ、足の甲をヒモで縛るタイプの足袋を開発し、これを「金栗足袋」として一般にも売り出します。
すると、このシューズは飛ぶように売れたのだそう。
これが、足袋シューズのはじまりとされています。
実はもう買える!足袋シューズのいろいろ
ドラマでは、今まで世の中になかった足袋シューズを生み出すところから物語が始まりますが、調べてみると、実はすでに一般向けの足袋のようなシューズはいろんなメーカーから発売されていました!
怪我をしにくいフォームを習得するための、矯正用として効果があるとされている足袋シューズ。現在一般向けに発売されているものをご紹介します。
■muteki
なんとも強そうなその名前は”無敵”。
見た目はかなり足袋に近いですね。
従来の足袋型シューズやつま先の割れたデザインの
シューズとは異なり(その他ランニングシューズも含む)
ソールにクッション等の保護材は一切使用せず、限りな
く素足感覚に近づけました。
(個人差はありますが)MUTEKIを履いて走ると自然
とつま先から着地するような感じになる為、人間本来の
走り方を取り戻すツールの1つになります。
ドラマ「陸王」と同じく、老舗の足袋店である杵屋から発売されているこちらの足袋シューズは、足袋そのものに天然ゴムソールを手縫いで縫い付けた、裸足に近いタイプのシューズです。
できるだけ裸足に近い感覚で走れるようにと縫い付けられたゴムソールの薄さは、なんと5mm。
一般的なレース用シューズよりも薄くなっています。
そして、ご覧くださいこの柔らかさ。
めっちゃ曲がるーーーーー
こんなに薄くてこんなに曲がる。限りなく裸足に近い感覚で走れそうです。
しかし、これだけソールの薄いシューズを見ると、ある疑念が頭をよぎります。
「これ、かかと痛くならない…?」
陸上競技経験者の筆者は、典型的な日本人のランニングフォームである、かかとから着地するフォーム。いくつもの競技用シューズを履いてきましたが、足袋風シューズの見た目は、ソールがとても薄く、これでは足への衝撃が大きすぎるのでは?と思ってしまうのです。
ですがこのシューズ、SNSを見てみると、けっこう人気なようです。
履いてみないと、その良さはわからないのかもしれません…!
そしてこの杵屋無敵、新しいシリーズがこの秋登場しました。
その名も”Toe-Bi"(トゥービー)
見た感じ、無敵ではヒモで締めるようになっている甲の仕様が、マジックテープになっているような…?
無敵よりも幾分スタイリッシュになっているようです。
女性でも手を出しやすそうですね♪
■hitoe
くつヒモがなく、かなり足袋っぽい見た目のこちらのシューズの名前は“hitoe”
ヒモがないと靴の中で足がブレてマメができてしまいそう…という、こちらも競技経験者の固定観念が入ってしまうのですが、こちらもかなり履きやすく、走りやすいようです。
シューズ本体部分は、無縫製の袋状になっています。それに薄いソールを貼り付けて、まるで一枚布のようなシューズに仕上げられています。
実際、hitoeを装着して5週間後に運動機能を計測したデータでは、足指の筋力が有意に向上。
歩行中の加速度も増し、歩行が安定したことが確認されました。
また、不安定なボードの上に立つ動的バランスを計測したデータでは、 一般的なシューズに比べ、hitoe装着後に安定性が向上。
立位姿勢の調整能力改善により、転倒予防への可能性が見出されました。
鮮やかな色や模様が入っていて、先ほどご紹介した“無敵”よりもモダンな印象ですね。
■Lafeet Zipang
こ、これは!!!!
かなり靴に近いんじゃありませんか!?
これだったら抵抗なく足袋シューズを試せると思いませんか!?
この足袋シューズを開発したのは、岡山県の岡本製甲株式会社。
昭和25年に革靴製造販売店を創業したのがはじまりとなって、野球シューズ、ウォーキングシューズなどを開発してきた老舗の靴屋さんです。
足袋屋ではなく、靴屋が作った足袋シューズというところが、製品にもあらわれているのかもしれませんね。
ソールは薄めではありますが、先にご紹介した2つに比べ“ソールっぽさ”がありますよね。
形もかなり靴に近いし、安定感がありそうです。
マラソン用のシューズに見られるような、地面をしっかりととらえるグリップが施してあり、足への衝撃も軽減されそう。
足袋というよりも、完全に靴寄りの足袋シューズですが、試してみる価値はありそうです。
話題の足袋シューズ、試してみてるなら今♪
ドラマのスタートと同時に、各地でマラソン大会が開催される、まさにランニングのシーズンに突入しました。
これからのマラソンシーズン、話題の足袋シューズを試してみるのもいいかもしれません。
足袋シューズで足の使い方を覚えれば、あなたの中に秘められた力が芽を出すかも…!?